明眸
石田郷子
泉までさびしき人を連れてゆく
薔薇ひらきけり甦るものとして
片腕に赤子抱きゆく青嵐
金魚の目ふはふは移りゆきにけり
Mさん 二句
明眸の滝に打たれにゆくといふ
前世も淋しかりしと夏帽子
お下げ髪ねむる紫陽花電車かな
栗の花目に雨粒の飛び込んで
杉山のすらりすらりと蛍狩
明易の湯宿に大き忘れもの
石田郷子
泉までさびしき人を連れてゆく
薔薇ひらきけり甦るものとして
片腕に赤子抱きゆく青嵐
金魚の目ふはふは移りゆきにけり
Mさん 二句
明眸の滝に打たれにゆくといふ
前世も淋しかりしと夏帽子
お下げ髪ねむる紫陽花電車かな
栗の花目に雨粒の飛び込んで
杉山のすらりすらりと蛍狩
明易の湯宿に大き忘れもの
椋アンソロジー
硝子戸に樺の影落つ雪の果 柿崎理恵
だんだんに耳の開いて百千鳥 林 のあ
熊ん蜂多羅の花をばわしづかみ 清水冬芽
弁当の箸で摘みし落花かな 藤田ありこ
藤棚をつらぬく雨となりにけり 小林木造
雛罌粟にわれのむつつりしてゐたる 亀井千代志
豆御飯ふたつの貌を持ちて棲む かすみ
母の日の母に介抱されてをり 深村清美
かにかくに大輪の薔薇崩れけり 守屋さつき
いななきの夕べはさみし袋掛 藤井紀子
麦秋が好きと答へし人の亡く 小川 久
柿の花こぼるる外のなき如く 相羽英治
今年竹風を切つては輝いて 髙橋白崔
一頭の蛾が声を出す青葉山 海津篤子
菓子の箱うつくしかりし新茶かな 福田うずら
安曇野のあかとき冷ゆる針槐 対中いずみ
この川の静かに濁る針塊 柚子谷イネ
一杓のびつくり水や走り梅雨 こうだなゑ
三時草咲くころ会の果つるころ 立本美知代
更科や三日月ほどの田を植ゑて 星野 繭
三味線の糸ひとつ撥ね梅は実に かやと
梅干してある縁側に父の客 小椋 螢
雨脚をうかがふ顔や梅漬けて 安藤恭子
濃紫陽花ぱちんと雨の弾かるる ともたけりつ子
梔子やひと降りに人ゐなくなる 小関菜都子
梅雨寒の川は流れてゆきにけり 小林すみれ
われ責むるものを流せり夏の川 岡村潤一
目薬の一滴まぶし太宰の忌 田野いなご
六月の闇を祀れる社かな 境野大波
時鳥ともにさみしき窓明り 市川 圭
郭公や帽子に白い花を挿し 橋本シゲ子
夏帽子イネ科カヤ属花満てり 高橋 梓
あの大き森のみどりに入りゆかな 田中遥子
言の葉をつよく放ちし土用波 宇野恭子
夕凪やますます椰子の伸びあがる 今田宗男
山城は山に戻りぬ夏の雲 松村 實
夏の雲アインシュタイン舌出して あさぎ
雪渓の窓の大きな朝餉かな 井上和佳子
善光寺平の風や三尺寝 Aki
炎昼の咀嚼重機やルリハムシ 石田太郎
蛇泳ぐ頭の一点の光りけり 岩崎裕子
莢の豆弾け飛んだる大雷雨 北川比沙子
湧き出づる泉の底の玉の石 廣岡大子
樫の花椎の花咲く泉かな 川島 葵
泉までさびしき人を連れてゆく 石田郷子
硝子戸に樺の影落つ雪の果 柿崎理恵
だんだんに耳の開いて百千鳥 林 のあ
熊ん蜂多羅の花をばわしづかみ 清水冬芽
弁当の箸で摘みし落花かな 藤田ありこ
藤棚をつらぬく雨となりにけり 小林木造
雛罌粟にわれのむつつりしてゐたる 亀井千代志
豆御飯ふたつの貌を持ちて棲む かすみ
母の日の母に介抱されてをり 深村清美
かにかくに大輪の薔薇崩れけり 守屋さつき
いななきの夕べはさみし袋掛 藤井紀子
麦秋が好きと答へし人の亡く 小川 久
柿の花こぼるる外のなき如く 相羽英治
今年竹風を切つては輝いて 髙橋白崔
一頭の蛾が声を出す青葉山 海津篤子
菓子の箱うつくしかりし新茶かな 福田うずら
安曇野のあかとき冷ゆる針槐 対中いずみ
この川の静かに濁る針塊 柚子谷イネ
一杓のびつくり水や走り梅雨 こうだなゑ
三時草咲くころ会の果つるころ 立本美知代
更科や三日月ほどの田を植ゑて 星野 繭
三味線の糸ひとつ撥ね梅は実に かやと
梅干してある縁側に父の客 小椋 螢
雨脚をうかがふ顔や梅漬けて 安藤恭子
濃紫陽花ぱちんと雨の弾かるる ともたけりつ子
梔子やひと降りに人ゐなくなる 小関菜都子
梅雨寒の川は流れてゆきにけり 小林すみれ
われ責むるものを流せり夏の川 岡村潤一
目薬の一滴まぶし太宰の忌 田野いなご
六月の闇を祀れる社かな 境野大波
時鳥ともにさみしき窓明り 市川 圭
郭公や帽子に白い花を挿し 橋本シゲ子
夏帽子イネ科カヤ属花満てり 高橋 梓
あの大き森のみどりに入りゆかな 田中遥子
言の葉をつよく放ちし土用波 宇野恭子
夕凪やますます椰子の伸びあがる 今田宗男
山城は山に戻りぬ夏の雲 松村 實
夏の雲アインシュタイン舌出して あさぎ
雪渓の窓の大きな朝餉かな 井上和佳子
善光寺平の風や三尺寝 Aki
炎昼の咀嚼重機やルリハムシ 石田太郎
蛇泳ぐ頭の一点の光りけり 岩崎裕子
莢の豆弾け飛んだる大雷雨 北川比沙子
湧き出づる泉の底の玉の石 廣岡大子
樫の花椎の花咲く泉かな 川島 葵
泉までさびしき人を連れてゆく 石田郷子
☆「椋」23号は八月五日に発行されました。
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