2008年10月18日土曜日

第24号


馬上盃
         石田郷子
軽鳧の子の貌ほのぼのと連ねゆく
西日浴ぶ鳩に好かれてゐる人と
一心にはたらいてをり扇風機
ふにやふにやに赤児の睡る白木槿
水打ちてくるる大きな眸かな
八月や地を擦つてゆく蜂の脚
土埃たてて男の子や稲の花
秋蝉のとぶびしびしとぶつかつて
馬上盃とふ秋の日にかたむけて
とんばうの傾くことよ谷ッの風



椋アンソロジー

海山へ行かず箱庭灯しけり  佐藤千絵
箱庭の水辺に我を置きにけり  川島 葵
盆景の月照る海を賜りぬ  田辺芳江
河骨に木槌のやうな潮の風  土門きくゑ
深川は父のふる里濃紫陽花  日余子
ビニールの中の夕刊濃紫陽花  後閑達雄
汝が言ひし螢日和とはまさに  Aki
あぢさゐもランタナも珠夕晴間  小林木造
包丁に種こぼしたる真桑かな  亀井千代志
地図とぢて人に道きく薯の花  大山和子
滝道の木洩れ日を踏むばかりなり  対中いずみ
さはさはと滴る山となりにけり  小林すみれ
合歓の花日のほとばしるところあり  岡村潤一
蜘蛛の巣や傘のしづくのどつと落ち  立本美知代
雲の端に風の立ちたる囮鮎  こうだなゑ
叩かれて大地の唸る大夕立  ともたけりつ子
鰻食ふズボンの丈の短くて  林 のあ
天牛の震へ極まり発ちにけり  柿崎理恵
甚平着て気まま許され居りしかな  松本フミエ
みづうみのこだましてゐる浴衣かな  小椋 螢
寝冷してマリア・カラスの痛いほど  海津篤子
打水や桶と柄杓のまさらなる  横下たまご
蛇の衣一期一会の飯をつぐ  藤井紀子
紙魚ひとつ幾十年棲む処なし  柚子
生国のはるかや胡瓜丸かじり  高橋 梓
少年の力点に置く青林檎  藤田ありこ
父の忌や炎天の空ありしこと  森本和子
暗がりに目の慣れてきて蝉涼し  高橋白崔
母許といふ涼しさのありにけり  北川比沙子
草の風日傘浮かしてをりにけり  宇野恭子
お社に灯のある田水沸きにけり  田中英花
雲の峰たちまち乾く浜のもの  星野 繭
命日の過ぎしおはぐろとんぼかな  境野大波
原爆忌雲のくづれを見てをりぬ  かすみ
ひとすぢの風あり誰か秋といふ  岩崎裕子
鳥高く雲高く秋はじまりぬ  柚子谷イネ
初秋の草刈り飛ばす古墳かな  安藤恭子
唐黍や美僧となりし茶髪の子  市川 圭
灯火親し写真の裏に母の文字  田野いなご
馬上盃とふ秋の日にかたむけて  石田郷子


椋24号は10月5日に発行されました。




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